筑波大学附属病院のこどもエコー塾

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基本編 腹部 ABDOMEN基本編 腹部 ABDOMEN

脾臓

脾臓のエコーの当てる位置

 

・脾臓は、意外にも初学者から「見つかりません」と言われることが多い臓器です。
・ポイントは、
「背側から見上げるように」
「肋骨の走行に合わせる」
「ゼリーたっぷり」
です。

 

「左側腹部」というイメージではガスに阻まれて見えないことが多いです。
消化管が存在しない後腹膜側からアプローチします。
また、腹部の表側と違い、固い曲面なので、プローブの両端が浮かんでしまいがちです。
ゼリーをたっぷりつけて、隙間を埋めるようにしましょう。
肋骨はエコーの邪魔をします。肋間に沿わせる様な向きで当てましょう。

 

 

正常な脾エコー①形態

 

 

・下部肋骨で背部の肋間に沿わせ、脾門と、最大断面を同時に出すようにする。
・肋間は2-3試す

 

正常な脾臓は、この画像の通り、
-尖った三日月形
-脾門部がある

 

 

比較のため、脾腫の画像を示します
・辺縁が鈍化し、扁平な三日月型ではなくなる

 

 

・さらに大きくなると下極が丸まる
(触診ではエッジを触れることができなくなる。触診における脾腫の pit fall)
・画面に収まらなくなる

 

 

・分葉(正常亜型)
発生の過程で分葉が残る場合がある。
切れ込みの様に見える。

 

 

・参考:多脾
このように完全に分かれていれば、分葉ではなく、多脾。
ちなみにこの子は内臓逆位もあるので、ボディマークが逆。

 

正常な脾エコー②サイズ

 

 

・Spleen index=a(長径 ,cm)× b( 厚み ,cm)
・長径だけでもよい(年齢ごとの基準値の記載あり)
・最も簡易には、丸みがあり、腎臓と比較して大きい=脾腫ありと判定

 

 

正常な脾エコー③液体貯留はないか?

 

 

腹水や腹腔内出血を探すとき、“脾腎境界にエコーフリースペースを探す”と言われますが、実際には“脾臓の下極周囲”に溜まっているものを多く経験します。

 

脾損傷

 

 

また、脾損傷に伴う出血は少量では局所に留まるため、しつこく周囲を探す。

 

 

また、特に外傷FAST のときは、“出血はエコーフリースペースとは限らない”ことに注意が必要

 

 

小括:脾臓の正常像

・とにかく、脾腫があるかどうか
・出血と脾損傷の検索は、しつこく細かく。

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