腎臓
腎臓のエコーは、
・FASTで腎周囲の評価があったり、水腎症など分かりやすい病気もあることから、臨床医が最も当てている部位の一つだと思います
・しっかり勉強すると意外と難しいので、エコーにつまづく理由の一つかも知れません?
腎臓エコーの評価は、以下のような項目を含みます
・正常な形態(腎門含む)
・正常なサイズ
・正常な皮髄パターン
下にそれぞれ詳しく書きますが、いずれも、“年齢相応”であることも意識する必要があります
腎臓のプローブの当て方
腎臓にエコーを当てるとき、すごく大まかに言うと
・右腎は前方から肝臓を介して当てたほうが、全体像がきれいに見えやすいですが、横から切れていることに注意が必要です
・左腎は前からだと、結腸に阻まれるので見えないことが多いです
・左右とも、後ろから当てると、腎門部の構造に沿ったソラマメ型の構造としてよく観察できます。
*半端に側腹部からではなく、明らかに“背側から見上げる”くらいの角度の方がよいです。
腎臓系の正常像②サイズ
腎臓の長径は、個人差が非常に小さいものです。
年齢によっては、2mmの差=±1SDのズレとなります(*正常値一覧は成書を参照)
しかし腎は楕円形なので、長径を測るときは、ちょっとした角度のズレが、大きな計測値のズレとなってしまいます!
腎の長径の出し方
・もちろん上極と下極を同時に描出するのですが、最初にそれぞれに注目して観察してみて、位置や形を把握してから、最後に両方同時に出すようにした方がよいです。
・下極の形状は特に、よく観察するクセをつけておくと馬蹄腎の見逃しなどが減ります。
あとは、成長にともなって骨化した肋軟骨が邪魔をするようになってきますが、計測のときはむしろ“肋軟骨をど真ん中に”置いてしまえば、上極と下極がきれいに描出できます。
腎臓の正常像③皮髄パターン
・腎の皮髄パターンは、年齢による変化が顕著です
・新生児期は腎皮質が明らかに高輝度で、髄質は黒く抜けて見えます。
・乳幼児期に、徐々に腎皮質の輝度は落ちてきて、成人と同様の“肝臓よりやや暗い”レベルになります。
・成人の腎臓エコーでは、腎臓の中央に脂肪を主体とした軟部組織が発達しており、高輝度に見えます(CEC: Cental Echogenin Complex)。生まれたてでは、CECはありません。年齢とともに発達します。
上記を踏まえた上で、以下の正常像をよく見比べてみてください
腎臓の正常像まとめ
・腎の年齢毎の正常像を押さえる
・自分が描出しようとしている断面を意識する
・上極、下極まで丁寧に見る
あとは、せっかく左右ひとつずつある臓器なので、左右で見比べてみてもよいと思います。